Perfect Sisters ~子役出身女優の成長がもったいない

by - 10/10/2014


姉妹がアルコール依存でまともに家族を養えない母親を殺してしまうという、実話を元にした話。
ブロンドで男の子の中心にいるような姉を『リトル・ミス・サンシャイン』(2006年)でぽっちゃり眼鏡の女の子を演じたAbigail Breslinが、髪を黒く染め、目の周り真っ黒、手にはリストカットの柄のアームウォーマーをしているゴスっ子妹を『ナルニア国物語』シリーズ(2005~2010年)の末っ子を演じたGeorgie Henleyが演じている。
(実年齢ではジョージーのが1歳年上なんだね)
とにかく、この2人の演技が圧倒的すぎて、他の大人たち(お母さん(Mira Sorvino)とおばさんを除く)や高校生たちの演技がなんと物足りなかったことか。
それも監督のせいだと思う。
事実を丁寧に伝えることが目的みたいだから少女たちが浮いてしまっている。
同じように事件を起こしてしまう女の子を描いている、ソフィア・コッポラの『ブリングリング』やハーモニー・コリンの『スプリング・ブレイカーズ』がそうじゃないのは、子どもだったり女の子ってのに寄ってるからだと思う。
私はそういうのが好きだし、観たいからこの映画が物足りなかった。
そうできる要素は主演の2人がいればあるのに。

アビゲイルちゃんは、過去にコンプレックスを抱えた女の子を演じていたという刷り込みがあるから、今、明るいのは表面上で、実は苦労しているのではという奥深さが感じられる。
それが、家族の苦労を抱える長女と合っている。
(『エンダーのゲーム』でも選ばれた少年の弟を温かく包み込む姉を演じていてよかった)
それに丸顔だけど、つんととがった鼻やしゅっとした目は大人っぽさも感じさせるから、背伸びしたい年頃の現実味が沸く。
地味なデイビッド(Jonathan Malen)を優しくもてあそぶところがすごくよかった。

ジョージーは、昔との差がありすぎてびっくりするくらい、ゴスっ子が似合う。
全身黒の格好で、真っ白い肌が余計に際立つ。
おでこが丸くて、あごがちょっと出ている立体的な顔立ちで、不気味に笑う姿がすごく上手くて、怖さを感じる子ども。
一見、頼りなさそうでも、実は頭がよくて、外国語をぺらぺら喋る(それが姉妹の特別言語)のも、小さい頃から活動してきた彼女だから説得力がある。

金髪と黒髪の姉妹が、親友のように一緒にじゃれあって、日々妄想をしていて、それと現実の差が嫌で母親を殺す。
『乙女の祈り』を思い出した。
あの映画も女の子に寄っていて成功している。

母親を殺す方法を考える場面などは妄想らしく演出していたけど、全然かわいくないんだよね(BGMがSt. Vincentの「Cruel」だったのはよかった)。
インテリアもファッションも。これは貧しい生活なのでしかたがないかもしれないけど、貧しい環境が舞台でもかわいいものがあるからそれが理由にはならないと思うんだよね。
単に、監督にその趣味がないだけだと思っちゃう。
このくらいの年齢の女の子独特の世界観がすごく好きだから、もったいないなあと思う。

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