Moonlight / ムーンライト ~一途なシャロンとずるいケヴィン

by - 11/28/2017


ひとりの人生を3つの期間で切り取って描いた作品なので、長い割りに一つひとつは物足りなさが残る。自分は青年期に興味があるので、シャロン(Ashton Sanders)の話を1番おもしろく観たし、アッシュトン・サンダースもよかった。

家に帰りたくないけど行く場所がない子どもリトル(Alex R. Hibbert)に関わる大人の男フアン(Mahershala Ali)と女テレサ(Janelle Monáe)。体が小さくて学校でいじめられて、それでも友だちとして接してくるケヴィン(Jaden Piner)。幼いシャロンが好きなったのはこの3人で、誰を選んでもドラマになると思った。


高校生になったとき、フアンはもうこの世にいなかった。どんな最後かわらかないけど、そのときのシャロンにもドラマがあったはず。その後もテレサの家に行っているから関係は続いていて、テレサとの距離感は変わらず、子どもと見守る大人の関係。ケヴィン(Jharrel Jerome)は、小奇麗な格好をした青年に成長していて、女の子とやったことをわざわざシャロンに自慢してくる。

シャロンはほとんどいつも受け身。ドラッグ中毒の母(Naomie Harris)は安全基地じゃないし、勇気を出すためのエネルギーが足りてない感じ。だけど、ケヴィンが面倒くさい仲間との付き合いで乗った挑戦で人を殴ることになったときは、自分から受けに行っていた。そこでどうしても頑張りたかったシャロンは、ケヴィンとの関係ではケヴィンよりも強いと思う。


だけどケヴィンは空気を読んで群れることができるくらいに賢い学生だったから、勇気を振り絞ったシャロンにどうすることもなく、シャロンはもうエネルギーないからまた受け身で流されるだけの生き方になって、いつしかブラック(Trevante Rhodes)になる……。10何年ぶりの再会で、筋肉の鎧と金歯で飾ったシャロンを見て、すぐに気付くか?ってとこで大人の物語には入っていけなかった。『Boyhood / 6才のボクが、大人になるまで。』みたいに、アッシュトン・サンダースが3世代を全部演じるって作品でもよかったのに。それくらい、3話目での変身振りが衝撃だった。

話の展開からして、シャロンとケヴィンの甘い思い出はあの海の一夜だけっぽいのに、その思い出だけを持って生きてきたシャロンってやっぱ強いと思った。ケヴィンは結婚や親になることをやってみて、失敗してって道をたどってきて、たまたま聴いた曲で昔の男友達のことを思い出して連絡してみたとか、シャロンよりもドラマ向きの人生なんじゃないかな。

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