裸のアンドリュー (MGMT)

by - 2/01/2012

アメリカの男子生徒はオシャレ度が低い。

アメリカ学園映画が好きでよく観ていた(る)中でそう感じるようになった。
もちろん、中にはオシャレな人もいる。ダッキーとか。
学園映画が流行った90年代後半のファッションの異常さ(今また流行が繰り返してるからダサいとは言い難いけど、男子はダサいよね?)からくるのかもしれないけど。

そして、Tumblrやってるとファンガールの熱心さで俳優やらミュージシャンの小さい頃の写真がどこかからか流れてきます。

最近、思わず2度見してしまった写真がこちら。

(via)

同年代だから、こういう雰囲気懐かしいよ。
まだみんな垢抜けなくてかわいいね。
でも、正直おしゃれとは言えない。

と、これはただの90年代の男子学生の集合写真ではない。
上の写真では左、下の写真では手前右端のくるくる頭の少年は今はMGMTで活躍する(変な言い方)Andrew VanWyngarden。

丸い眼やふっくりしたほっぺたなどに面影がある。

まさか“これ ”が、「Kids」で超売れて、歌詞のまんまのようなことをしてるとか言われるようになるIndieスターだとは思えない。

そこで、前から気になってたけど、アンドリューが人気者になった訳を考えてみた。

相方のベンはニューヨークの人だけど、アンドリューはミズーリ州コロンビア出身でテネシー州メンフィス育ち。
大学でニューヨークに来て、ベンと知り合った。
今の彼らを想像して、昔のMGMTの動画や写真を見ると、あれ?って違和感があると思う。
髪は適当に短く、色白でほっぺたの赤いアンドリューは、かわいいとも思えるけど、スターのようなオーラは感じられない。

『Time to Pretend EP』でじわじわ注目され始めた彼らは、アルバム『Oracular Spectacular』発売後人気が急上昇した。

その理由のひとつに、このアルバムジャケットと、この時のプロモ写真があると思う。


彼らのpsychedelicでprimitiveな曲のイメージとも合うこの写真。
ちゃんとしたテーマがあるから、それを着こなすアンドリューすごい!ってなってしまう魔法。
+ネコに勝てるものはないし。
でも、付けている物に注目すると、なんでそれ?ってものばかり。蛍光の海水パンツ。ファー。時計。ニット帽。

とすると、この時のアンドリューの勝因は裸だったこと。

センスじゃなくて、生まれ持った素質で評価されたことが良かったと思う。
例えば、同時期に人気の出た同じくニューヨークのバンド、Vampire Weekendは間逆の個性を持っている。彼らは頭の良いお坊ちゃんらしいセンスが評価された。これも、バンドのイメージと趣味があっていて、それが相乗効果を生んでいるというのがあるけど。
好きか嫌いかは別として、オシャレなのはVampire Weekend。見た目が良いのはMGMT。これは誰もがそう言うと思う。

曲が良いから、とかそういう理由は抜きにして、 イメージってやっぱり大事。
音楽は耳だけでも楽しめるけど、エンターテインメントの一部なら見た目にも刺激が欲しい。
当時は、Indieシーンでスキニーパンツが大流行した後で、イギリスのバンドはおしゃれで、アメリカのバンドはオタクっぽいという感じだった。ファッションには無頓着で、Tシャツに擦り切れたストレートジーンズ。別にそれでもいいけど、それだと個性の海では沈んでしまわないかい?
バンドロゴ、アルバム・ジャケット、ミュージック・ビデオとデザインが必要な場面はたくさんあるし、自分たちのやっている音楽を見た目でも表現するのはアーティストとして課せられた使命だと思う。

だから、アンドリューは最初にセンスではなく素の見た目で勝負できたところが良かった。
イギリス人は逆にセンス勝負で、服を脱ぐと貧相だったりあまり美しくないこともあるからね。

そして、多くの人の印象に、カーリーヘアのかわいらしい男の子が残った。
女の子の人気が高かったのも、そういうところがあったと思う。

で、アンドリューが髪を切ったときの反応がすごかった。

イメージの崩壊。

服を着たアンドリューはダサい。というか普通。

雑誌とかでちゃんとスタイリングされている時は良い。バンドのイメージに沿った、ちょっと個性的なファッションを着せられてもちゃんと着こなせる。だって、元はいいんだから。モデルと一緒。
でも、スナップショットみたいなのとかで見ると、ん?ってなる。

それに気づいたファンは、そういうところもかわいいっていう見方にシフトしてるし、バンドメンバーが増えてからはかっこいい担当は別の人に移ってると思う。


ということで、アンドリュー、28歳の誕生日おめでとう!
まだ当分童顔でかわいいままでいられると思うから、その内にまたアイドルっぽいことしてファンを喜ばせてね。

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