Iceage @ Astro Hall 02/08/2012

by - 2/10/2012



去年Iceageを知って、久しぶりに見た目で強く惹かれる存在に胸がドキドキした。

何が良いって顔が良い。そこらへんの普通の子どもっぽさの中に狂気とか、退廃した雰囲気を持っていて、それがとても現代っぽい。そしてその雰囲気そのままな音楽性。彼らと同年代の子が一緒になって盛り上がってるのが理想だけど、かつての少年少女も彼らを見てると胸が高鳴ると思う。“青春”って言っちゃえば簡単だけど、でもその時の気持ちってすごく大切な思い出。だから物語も描きやすい。Iceageを聴きながら、彼らの顔を見て(できればライヴが見たい)、そしたらこの厳しい現代でも何とかやってるんだ、やってくんだって思える。

この上の文はだいぶ前、ライブを見る前、見られるかもわからなかった頃に書いてあったメモから。

2000年代の子どもは「What ever」世代と言われた。自分のまわりで起きていること、さらには自分のことでさえどうだっていいという無気力感に覆われていた。
でも、2010年代の子たちはTwitterやfacebookなどSNSの発達もあり、「今ごはん」ってことから何でも外へ発信したい世代になってるんだと思う。
Iceageの子たちは、そのちょうど中間の世代なのかな。無気力の中から、気の合う仲間の小さい世界で自分たちの居心地の良い場所をつくって、生きやすいようにしていく力をつけてる。近い印象だったのはThe XXを観た時。ぱっと見は素朴でそこら辺に普通にいそうな子たちなのに、いざステージに立つと狂気さえ醸し出し、独特の世界を作り出す。


ボーカルのEliasは、ふらふらと佇み、曲が始まるとその綺麗な顔からは想像できない低い唸り声で叫ぶ。それを加勢するかのようにDanが激しくドラムを打つ。
だけど、注目して欲しいのはステージの左右に立つ2人だ。背が高く、北の子らしい薄い髪の色に白い肌。ギターのJohanは黒い長袖に普通のジーンズ、紺のアディダスのスニーカー。ベースのJakobはエンジのトレーナーにエンジのポロシャツの襟を覗かせ、これまた普通のデニムに、履き古したアディダスのスニーカー。学校からそのまま来ましたって感じの格好。他の2人もシンプルだったけど、この素朴さがたまらない。でもって、Jakobはストラップを背中のところで結んで短くしていて、その柄が何だか丸めたお札みたいで面白かった。この2人が唸るような切り裂く音を出しているんだけど、本人たちは表情ひとつ変えず、突っ立ってるだけ。時々、メンバー同士で会話していて、 Jakobが指示を出したりしてたから、ちゃんと関係性はできてるんだろうなと思ったけど、そうじゃなきゃ機械みたい。そのギャップが怖いような、でも彼らにとったら楽しいのかなって思うと嬉しいような、複雑な気分になった。
ボーカルだから、1番表現の大きいEliasでも、つたない英語で「僕たちはIceage。デンマークから来ました」以外は次にやる曲のタイトルを言うくらいで、もくもくと曲をこなしていく。ただ、時々お客さんがステージに乗り出してくると、前のめりになってそれに応じるようなところが見えた。そういうところがハードコアの魂を垣間見れた気がした。演奏に関しても、アルバムで聞くよりもずっとハードな印象だった。 よくわからなかったけど新曲もやったそう。「Remember」をやらなかったことはわかった。好きな曲だったのに。でも、あの曲はアルバムの中でもちょっと違う感じだったので、これからはそういうのじゃない方向に進むのかな。
他に気になったのは、あんだけ叫んで動いているのにEliasはそんなに汗をかいていなかった。アンコールの最後らへんでようやく顔の周りの髪の毛がしめっているかなって感じで、それ以外は何の変化もなかった。そういうところがIceage?きっと他のハードコアのバンドだったら、汗びっしょりでTシャツも脱いじゃって、「キャー汚い。臭い」って感じなのかな?
Eliasはかわいいから女の子も結構前の方にいて、特に1人SkinsのEffyみたいに目の回りを真っ黒にした子がキラキラした瞳でステージを見つめていて、それがすごく素敵だと思った。


ほぼ最初に見たのがこの写真。Iceageらしさがあってとても気に入っている。
手前右のDanの笑顔は屈託のない、純真さがにじみ出ている。でも、その後ろでEliasは不気味に笑う。何を考えているのか、もしかしたら恐ろしいことかもしれないという想像力をかき立てる。そして、さらに後ろでJakobは何も考えていないかのような無表情。
子どもたちは時代によって、その時の社会や大人の影響を受けて変わっているけれど、変わらない子どもらしさもずっとある。それは大人を安心させて、幸せな気持ちにさせてくれる。でも、そのかわいいだけと思っていた子どもが成長して自立してこちらが想像もしなかったことをしてみせる。そんな驚きも嬉しかったりする。
だから若い子から目が離せないし、夢中になってしまうんだよな。

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